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映画『そして父になる』父親とはどうあるべきかを問うている【映画感想(ネタバレあり)】

投稿日:2019年3月11日 更新日:

父と子

こんにちは。Takafumiです。

 

前回に引き続き、「感動する映画シリーズ」として第2弾を記事にしていきます。

 

感動モノって素晴らしいですけど1本見終えると疲労しますね。何というか、心へのダメージが大きいと感じます。しかし、以前から気になっていた作品なので、じっくり視聴しました。

 

こんな方にオススメ

  • 暇だからDVDでも借りて映画観ようと思ったけど何を観ようか迷う。
  • 観る映画を選ぶにあたって、あらすじやネタバレを簡単に知っておきたい。
  • 映画を観た後の感想を共有したい。

 

今回の作品はコレ。

 

『そして父になる』

 

では早速いきましょう。

 

 

映画『そして父になる』 作品情報


【出演】

福山雅治 、 尾野真千子 、 真木よう子 、 リリー・フランキー 、 二宮慶多 、 ほか

【監督】

是枝裕和

 

あらすじ

6年間育てた息子は取り違えられた他人の子だった。血か育ちか。人は何をもって人の父親たりえるのか?

 

学歴、仕事、家庭、子供。

 

自分の能力で全てを手にいれ、自分は人生の勝ち組だと信じて疑っていなかった良多。

ある日病院からの連絡で、6年間育てた息子は病院内で取り違えられた他人の子供だったことが判明する。血の通わぬわが子に変わらない愛情を迷わずに注ぎ続ける妻と、一見粗野だが温かい相手方の家族との交流を通し、そもそも自分は「父親」であれたのかを問い始めることとなる。

 

人生ではじめての壁にぶつかり、自分自身と向き合う男の葛藤を描く感動のドラマ。

 

(フジテレビHPより引用)

 

映画『そして父になる』 個人的な感想

結論、感動というより考えさせられる映画でした。

 

この映画は、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞している作品です。なので、事前の期待が異なる方向に向いていたのかもしれません。

 

『そして父になる』という映画は、前回記事にした『湯を沸かすほどの熱い愛』と同様、「血のつながり」について考えさせられます。また、「父親」とはどうあるべきなのかということも考えさせられます。

 

このようなテーマを2つの家族や父親像を対比させることで僕らに問うています。

 

「考えさせられる」と思うポイント

・「父親」とはどうあるべきか

・「血のつながり」とはどれほど重要なのか

 

では、具体的に書いていきます。

 

「父親」とはどうあるべきか

先ず、この映画は福山雅治演じる「野々宮良多」とリリー・フランキー演じる「斎木雄大」という2人の父親の対比になっています。

 

良多は、仕事において高いポジションに就き、暮らしにおいても高級車に乗り高級マンションに住むという一定の成功を収めています。家庭内では妻よりも主導権を持っているタイプです。

 

対して、雄大は、決して儲かっているとは思えない電機屋を営み、暮らしも並かそれ以下です。家庭内では妻が主導権をもっているタイプです。

 

このような2人の父親像がミスリードを生んでいる気がします。

 

それは、描写やセリフの通り、雄大の方が子どもにたくさん関わっている「良き父親」で、良多の方が「父親らしくない」と感じさせてしまうところです。しかし、本当にそうでしょうか。

 

雄大のセリフにもある通り、父親として関わる時間(つまり「量」)が重要だとこの映画では述べられています。確かに一般的にも信頼関係の構築には関わりの「時間」や「回数」が重要だと言われています。その点に関して異論はありません。もちろん、父と子の関係においても同様でしょう。

 

ただ、関わりの量が多いことがあるべき父親の姿というのは早合点ではないでしょうか。仮に、良多がまったくと言っていいほど子どもに関わっていないのであれば、そのような対比も成り立つでしょう。しかし、実際に良多は多いとは言えないながらも積極的に子どもに関わっている描写があります。なので問題提起すべきは、どのように関わるか(つまり「質」)だと思われます。

 

このどのように関わるかという観点では良多も雄大もどっちもどっちという感じではないでしょうか。例えば、本編でもあるように箸の持ち方のような素養を身につけさせてあげることも父親(または両親)の関わりであるという見方もあるはずです。

 

長々書いてきましたが、「父親」とはどうあるべきかという問いに対して正解は複数あるということです。どのくらい関わったかだけでなく、どのように関わったかも重要で、ラストシーンで表現されている通り、子どもとしっかり向き合うことが重要なのかもしれませんね。

 

「血のつながり」とはどれほど重要なのか

この映画を観て認識したことは大前提として「血のつながり」は重要だということです。

 

ここで1つ質問です。

「もし子どもの取り違えが生後1ヶ月で発覚したらどうしますか?」

 

どうでしょう。「すぐにでも交換する!」という結論になりませんか?このことから大前提として「血のつながり」が最も重要だということがわかります。

 

しかし、この映画では何となく「血のつながった子ども」より「6年間育てた子ども」という結論になっているように感じます。加えて言うなれば、「6年間育てたのであればそのまま育て続ける」という判断を多くの親が取りそうな気もします。いったい、なぜそうなのでしょうか?

 

この点に関しては、上述の通り劇中で雄大が答えを述べています。それは6年間という「時間」です。

 

「サンクコスト効果」という言葉をご存知でしょうか。

サンクコスト効果とは

ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。

(Wikipediaより引用)

 

「6年間育てた子ども」に今後も愛情を注ぐことが損であるかどうかは別として、6年間育ててきたという思いが大前提を覆す判断の要因の一つでありそうですよね。つまり、大前提として重要な「血のつながり」も、関わった時間や思いによってそれを上回る信頼関係が築けるということです。

 

特に父親にとっては生物的にも自分が生んだわけではないので、本当に自分が父親なのかということは一見わかりません。それでも子どもとの関わりを通して父親とは何かを考え、子どもの成長とともに自身も父親として成長していく。この点に関しては「血のつながり」の有無など関係ないのかもしれません。そういったメッセージをこの映画は投げかけているように感じます。

 

関連情報

是枝裕和

国内外問わず最も評価されている日本人映画監督の1人です。ドキュメンタリー番組の制作で頭角を現し、後に映画監督としても高く評価され、数々の作品が賞を受賞しています。近年では2018年に『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルム・ドールを受賞しました。

 

是枝裕和が監督を務める代表作

『万引き家族』


『海よりもまだ深く』

『海街diary』


『奇跡』


『歩いても 歩いても』


『誰も知らない』


『DISTANCE/ディスタンス』


 

まとめ

今回は『そして父になる』について記事にしてきました。まとめサイトやブログに“感動する映画”として紹介されていることが多いですが、実際に観てみて“感動”というより“考えさせられる”映画であると思いました。

 

そもそも是枝監督の作品は実際の事件や社会的問題をテーマとして作られているものが多いので、ただ単に、「感動した」とか「泣けた」とか、そういったところで留まるのではないはずなのです。

 

「これからの僕らがどうあるべきか」

 

そういったことを考えていく作品です。

 

では、今回はこのへんで。

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